笠間日動美術館:学芸員便り

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■「没後25年 鴨居玲」新春ギャラリートークのお知らせ

2010年12月24日

現在開催中の展覧会「没後25年 鴨居玲」。
新春に当館学芸員によるギャラリートークを開催いたします!

日時 : 1月2日(日)、3日(月)午後2時より
会場 : 企画展示館

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そこで今日は魂の画家鴨居玲展の中身を少しだけご紹介したいと思います。 

第一章は「画家として成功に至る過程」として、金沢美術工芸専門学校時代の作品から絵描きとしての道を開く1969年41歳の安井賞受賞後までをご紹介しています。
1950年頃の作品は当時師事していた宮本三郎の影響を感じさせます。

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「青い手袋」1950年頃

第二章「あふれ出る才能と苦悩」では1971年より77年までのスペイン、パリ滞在期の作品をご紹介しています。酔っ払い、廃兵、老婆など、スペインの人々は鴨居に格好の画題をもたらしました。鴨居の画家としての生涯で最も充実した時間でありながら、安定した日常や評価が次第に鴨居を追い詰めます。心身の不安定を募らせ、1977年に帰国の途に就くことになります。

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「私の村の酔っぱらい(A)」1973年

第三章「早すぎた終焉」では、帰国後の神戸での生活から57歳でその生涯を閉じるまでの作品をご紹介しています。帰国後思うようにすすまない制作の中で、新しい画題とし裸婦に挑戦しますが、スペイン時代の人物画のような境地は見いだせません。

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「黒いショール」1977年

時間とともに鴨居の心身は衰え1985年の最後の時へ向かいます。安井賞受賞からわずか16年の歳月のなかで数々の傑作を生み出し、その鮮烈な印象は人々をひきつけて止みません。

本展では当館所蔵品を中心に60点の作品で魂の画家の生涯をたどります。

また自画像の画家鴨居玲に合わせて「セルフポートレート展ー自己をみつめてー」を開催しております。
自画像は絵画において古くから記念碑的な意味合いとして、習作として、そして純粋に作品における表現として、時代とともにその意味合いを変えながら、画家に一番近いモティーフとしてあり続けてきました。日本では、西洋画が移入された明治以降、高橋由一らにより、自画像が描かれ始めます。

本展では、当館の自画像コレクションの中から、日本洋画界において重要な足跡を残した近代から現代までの洋画家約55名の自画像をご紹介しています。
様々な時代、様々な年齢の洋画家が自身をみつめ描いた自画像が、訴えかけるまなざしをぜひご覧いただきたいと思います。

皆様のご来館をお待ちしております。